Lobby
静けさに包まれる、ふたつのロビー
The Okura Tokyoでは、「オークラ ヘリテージウイング」と「オークラ プレステージタワー」それぞれに、趣の異なるロビーをご用意しています。
ヘリテージウイングのロビーは、空間全体を“床の間”に見立てた設え。装飾をあえて排した床と天井が、凛とした静寂を湛え、正面の壁には、
平安時代の和歌帖『三十六人家集』をモチーフにした壁画が彩りを添えます。これは、本館「平安の間」の壁面装飾を移設したものです。
一方、プレステージタワーのロビーは、多くの方に親しまれた本館ロビーを、現代の技術で忠実に再現。オークラの精神と美学を継承しています。
いずれのロビーも、オークラ本館ロビーを手がけた建築家・谷口吉郎氏の意匠を継ぐ、谷口吉生氏の設計によるもの。
過去と未来が静かに響き合う空間で、皆さまをお迎えいたします。
Wabi - Sabi - Miyabi
わび、さび、そして、みやびの継承
The Okura Tokyoに息づく美は、目立つものばかりではありません。
たとえば、オークラ プレステージタワーのロビーを彩る四弁花の壁面装飾。
これは、人間国宝・富本憲吉が、本館ロビーの設計者・谷口吉郎の強い願いに応え、病床の晩年に手がけた貴重な意匠です。
日本古来の蘭をモチーフにしたこの柄は、オリジナルと同じく龍村美術織物によるもの。立体感をもたせるため、織りの技法にも新たな工夫が施されています。
また、館内の欄間や照明には、麻の葉文様や藤の花をはじめとした伝統的な意匠がさりげなく息づき、
空間のそこかしこに、日本の美意識が静かに花開いています。
Modern nature
モダンな自然
四季の移ろいに、心ほどける庭園
The Okura Tokyoの敷地内には、豊かな緑と季節の彩りが楽しめる庭園が広がっています。散策は、プレステージタワーとヘリテージウイングに囲まれた「オークラスクエア」の水盤から始まります。およそ19メートルの高低差を巧みに活かした園内には、石組みによる瀑布、菖蒲や燕子花が咲く湿地、そして歴史を感じさせる大銀杏など、多彩な日本の風景が点在。四季折々の自然美が、訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。さらに一部の小径には、大倉集古館が所蔵する石碑や灯籠を設置。庭園に静かな芸術の気配を添え、散策のひとときをより豊かなものにしています。
平安の雅を映す、静謐な風景
かつてホテルオークラの屋上には、枯山水の庭「曲水庭」がありました。その名のとおり、平安時代の宮中行事「曲水の宴」小川に酒盃を浮かべ、詩歌を詠みながら酒を酌み交わす雅な遊びに着想を得た庭でした。新しい庭園では、この曲水庭の趣を継承し、水の流れを思わせるしつらえで空間を構成。12トンもの庭石をはじめ、枯山水の要素を随所に取り入れ、静かに語りかけるような、風景としての美を演出しています。